スタッフブログリハビリ整形外科東洋医学運動療法 2024.08.01
神経の障害による『いたみ』part2
〇神経障害性疼痛の原因
「神経障害性疼痛」は、神経が傷ついたり圧迫されたり、糖尿病や感染症、脳卒中、がんなど、様々な原因によって神経が障害されることで生じます。
・ケガや手術により神経が傷ついたことによるもの
・神経の圧迫や締めつけによるもの
・糖尿病の進行により、神経が傷ついたことによるもの
・ウイルス、細菌などの感染によるもの
・腫瘍やその化学療法によるもの
〇神経障害性疼痛を生じさせることが多い病気
・脊柱管狭窄症:脊髄などの神経が通っている「脊柱管」が、腰などのあたりで狭くなって、脊髄や神経などを圧迫し、腰痛や歩行時痛、下枝のしびれを起こします。
・手根管症候群:手のひらの手首近くにある、腱や神経などが通っている「手根管」というトンネルの中の圧力が上昇して、神経を圧迫し、親指~薬指にかけていたみ、しびれを起こします。
・有痛性糖尿病性神経障害:糖尿病の進行によって、末梢神経が障害され、足末端のしびれ、灼熱感やいたみなどの感覚異常、筋肉のけいれんなどを起こします。
・帯状疱疹後神経痛:帯状疱疹の皮膚症状の改善後も、いたみだけが持続してしまういたみの病気のことをいいます。
〇神経障害性疼痛の治療
薬物療法
・Ca²⁺チャネルα₂δリガント
いたみを脳に伝達する神経の中継点で、いたみを伝える物質(神経伝達物質)が過剰に放出されるのを抑えることで、いたみを軽減します。
・抗うつ薬
抗うつ薬には、いたみを抑える神経を活発にすることで、いたみを軽減する働きがあります。
・ワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液
こちらは、「ワクシニア」とよばれるウイルスを投与して皮膚に炎症を起こさせ、その組織から抽出された生体性物質を精製して、「鎮痛薬」として製剤化したものです。
・オピオイド鎮痛薬
いたみを伝達する脊髄や、いたいと感じる脳などの中枢神経に作用して、いたみを抑えます。他の薬では抑えられない強いいたみなどに用いられます。以前は主に、がんのいたみに使用されてきましたが、近年では、がん以外のいたみにも使用できる場合があります。
薬物療法以外の治療法
・理学療法(リハビリテーション)
運動療法や、温熱、電気、光、水など物理的な刺激によって、運動機能の回復と維持、増進を図る治療法です。いたみによって硬く緊張している筋肉をほぐし、血流を改善することで、いたみの軽減が期待できます。
・鍼療法
皮膚、筋肉等に鍼刺激をする事で、軸索反射が起こり筋、血管に分布されています。
血管拡張神経の作用により、サブスタンスP等が分泌され血流が改善することで、疼痛物質(プロスタグランジン、ブラジキニン等)が除去されます。
電気刺激を加える事で、下行性痛覚抑制系の活動により中枢で、脳内モルヒネが生産され痛みを遮断します。
・神経ブロック療法
局所麻酔などを神経の周辺に注入し、いたみの情報が脳に伝えられるのをブロックする治療法です。いたむ場所に直接注射するため、ピンポイントでいたみの軽減が期待できます。