医療法人 共生会 井上整形外科クリニック

お知らせスタッフブログ整形外科運動療法 2024.12.17

トリガーポイント注射(ネオビタカイン注)について

〇トリガーポイント注射の機序

 

トリガーポイントを消失させるための治療法として、トリガーポイント注射、トリガーポイント鍼および徒手療法などが施行されているが、トリガーポイント鍼や徒手療法に要する治療時間を考えたとき、現実的な選択肢はトリガーポイント注射です。

 

薬液としては局所麻酔薬、抗炎症薬およびボツリヌス毒素などが用いられてきたと考えられるが、薬液の優劣については結論が出ていません。

 

 

トリガーポイント注射の治療には、意義があります。

トリガーポイント注射の主たる機序は、上述の痛みの悪循環を断つことです。

 

  • 局所麻酔薬による、活性化した末梢神経活動の抑制

 

  • 侵害受容器の感作に関する因子を希釈、消去することによる痛み刺激の減弱化

 

  • 活性化していた運動神経活動および交感神経活動を不活性化することによる筋緊張の緩和および血管収縮の解除

 

  • 筋緊張の緩和および血管収縮の解除による血流の改善

 

 

〇ネオビタカイン注

 

 

ネオビタカインは、ジブカイン塩酸塩(0.1%)、サリチル酸ナトリウム (0.3%)および臭化カルシウム(0.2%)を有効成分とする配合剤です。

 

ジブカイン塩酸塩は局所麻酔作用を有し、サリチル酸ナトリウムは抗炎症作用を有し、臭化カルシウムは神経静穏作用有します。

 

また、ジブカイン塩酸塩の局所麻酔作用はサリチル酸ナトリウムと臭化カルシウムが共存することにより増強します。

 

ネオビタカイン注のトリガーポイント注射では、これらが総合的に働き鎮痛効果を発揮します。

 

 

 

トリガーポイント注射の報告では、ネオビタカイン注を用いた報告があり、腰痛症患者、肩こり症患者、膝痛症患者、筋緊張型頭痛患者およびがん患者等の筋・筋膜性疼痛に対して施行されています。

 

ネオビタカイン注を用いたトリガーポイント注射の有益性が高い理由として、トリガーポイントの病態の複雑さに、ネオビタカイン注の配合成分が効果的に有効性を発揮している可能性が考えられています。

総じて、疼痛治療標的としてのトリガーポイントの存在意義は大きく、疼痛愁訴を有する患者に対して、トリガーポイントの有無を確認することは重要です。

 

また、適切にトリガーポイントを消失させることは、疼痛治療成績の向上に寄与する可能性が高いです。

 

 

 

〇治療頻度

 

 

治療直後に症状が消失することもありますが、トリガーポイントに刺入されていれば、数分後から効果が現れ、通常2~3日は効果が持続します。

 

 

・急性痛の場合:通常3日ほど間隔を空けて、2〜3回の治療で軽快します。

 

・慢性痛の場合:数回の施行が必要で、症状が再発したらその都度実施します。

 

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